アメリカ合衆国は、国家安全保障の強化を目的として、外国人観光客に対する入国審査の厳格化を進めています。特に、英国をはじめとするビザ免除プログラム対象国からの旅行者に対し、入国申請時に過去5年間分のソーシャルメディアの利用履歴を提出させる新たな措置を検討していることが明らかになりました。これまではビザ免除国の旅行者はオンラインの電子渡航認証システム(ESTA)を利用し、簡便に渡航が可能でしたが、今後はSNSのアカウント情報や投稿履歴の提出が義務付けられる可能性があります。
この措置の背景には、テロリズムや犯罪の未然防止を図るため、渡航者の情報をより詳細に把握したいという政府の狙いがあります。ソーシャルメディアは個人の思想や交友関係、行動パターンを知る手がかりとされており、これらの情報を入国審査に活用することでリスクの高い人物の特定を目指しています。一方で、SNS履歴の提出はプライバシー侵害や表現の自由の制限につながるとの批判も根強く、専門家や人権団体からは懸念の声が上がっています。
また、技術的な課題も多く、提出されたSNS情報の審査方法や保存期間、情報漏洩のリスク管理などが問われています。さらに、提出を拒否した場合の対応や、誤認による入国拒否の可能性も問題視されています。こうした点から、実施にあたっては透明性の確保や適切なルール作りが不可欠とされています。
今回の案はまだ検討段階であり、正式な導入には議会の承認や関係機関との調整が必要です。しかし、グローバルな安全保障環境の変化を受けて、各国で入国管理の強化が進む中、アメリカの動向は世界的にも注目されています。
### 背景と注意点
アメリカは9.11同時多発テロ以降、入国管理の厳格化を進めてきました。近年ではテロ対策だけでなく、サイバー犯罪や偽造書類の防止も重要視されています。SNSの情報は個人の行動や思想を把握する新たな手段として注目されていますが、プライバシー保護とのバランスが課題です。提出を義務化することで、渡航者の負担増加や国際的な批判を招く可能性もあり、慎重な運用が求められます。
### 今後の注目ポイント
今後はSNS履歴提出の具体的な範囲や審査基準、情報管理体制の詳細が明らかになる見込みです。また、他国の対応や国際的なプライバシー規制との整合性も重要な論点となります。アメリカの措置が実際に導入された場合、観光やビジネス渡航にどのような影響を及ぼすか、また国際社会の反応も注視されます。
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【出典】
https://www.bbc.com/news/articles/c1dz0g2ykpeo?at_medium=RSS&at_campaign=rss



